『ルサンチマン』は、花沢健吾による成年向け青年漫画。『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)に2004年3号から2005年12号まで連載された。単行本は全4巻(小学館ビッグコミックス)、新装版は全2巻。
結構好き嫌いが分かれそうな絵です。舞台は仮想現実(オンラインゲーム)をかなりリアルに体験できるようになった近未来、主人公は仮想現実内へ現実からの逃避で没入していくというような内容です。
「現実世界で絶望的にモテない男達が現実を諦め、仮想現実に愛と救いを求める」
というテーマを強く持っています。
ルサンチマンとは
ルサンチマン(仏: ressentiment)とは、主に弱者が強者に対して、「憤り・怨恨・憎悪・非難」の感情を持つことを言う。
デンマークの思想家セーレン・キェルケゴールにより確立された哲学上の概念である。フリードリヒ・ニーチェの『道徳の系譜』(1887年)でこの言葉が利用され、マックス・シェーラーの『道徳構造におけるルサンチマン』で再度とり上げられて、一般的に使われるようになった。
タイトルになっている「ルサンチマン」という言葉ですが、上記のような考え方だそうです。
本作品の中の主人公を的確に表したタイトルのように思えます。
## 現実と仮想現実
作品内のオンラインゲーム「アンリアル」は登場人物の一人が作った非常に複雑なプログラムですが、その中で一つ重大なバグのようなものがあります。それが現実世界を巻き込んだ大変な問題を起こすようになります。現実世界と仮想現実が次第に混ざってくるような緊張感があります。
主人公も途中、現実が好転してくることで仮想現実から足を洗うような展開があるのですが、仮想現実は非常にリアルで、そこで送った生活も一つの現実のようになっています。
バーチャルリアリティを題材にした作品
「マトリックス」(1999年)、「アバター」(2009年)、「インセプション」(2010年)左三つは映画ですが、面白い作品が様々あります。
マトリックスは作品内で、過酷な現実よりも仮想現実のマトリックス世界を選択した登場人物が波乱を起こすシーンがあります。
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アバターは、現実世界では下半身不随の主人公が仮の肉体であるアバターを操作し、未開の星の住民たちと交流を深めていき、問題を解決します。
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インセプションは、人の夢に入り込むことでアイデアを盗むという内容ですが、より深い夢に入り込んでいくため、最終的には今現実なのか夢の中なのか、という余韻を残す作品となっています。
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誰でもしたことのある妄想の世界
世界観は誰でも一度はしたことがある妄想を漫画にしてしまったような感じです。展開も早く4巻で終わりますが、最後も綺麗に終わらせられており、良い感じの読後感があります。
上記で挙げたようなバーチャルリアリティを題材にした名作もたくさんありますが、平凡で普通な主人公の妄想をネタにしたような本作品は親近感が湧いてきます。
近未来SFが好きな方も是非一度読んできみてください。
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